子供の発想力

大人になってから、周りのものに対して関心が薄れていくのを感じる。
椅子に座るのも電車に乗るのも当たり前のことだ。
幼かった頃、私は椅子に座るそれだけのことが、特別に感じられた。新しいものや風景に出会うたび、えもいわれぬ興奮を覚えていた。この椅子の色が何色なのか。どんな形なのか。誰が作ったのか。そんなことが気になってしょうがない。
電車がどんな色なのか。どんな形なのか。なんで動くのか。どんなひとが運転してるのか。

大人になった私は何も考えず電車に乗る。
移動手段でしかなかった。それは幼い頃に気になっていたことが、自分に関係ないことだと気づいたからだ。どうでもいいことだったからだ。
それを人は大人になることだと言う。
学校や会社に行くために服を着替え、道を歩く。
そんな毎日の事に、意味を求めたりしない。

子供の発想の良さはここにあるのだろう。世界にあるものすべてが自分にとって大切なことであり、知らなければならないと思う。

私は大人になった今でも、当たり前に疑問を持つようにしようと思う。
人が生きている不思議さや、宇宙のこと、海の深さについて考える。
あらゆる当たり前を一度考えてみることで、自分が生まれた意味について、近づけるのではないだろうか。